わたしの「暮らしの拠点」どう決める?

飯山市副市長 伊東ゆかり氏
元アナウンサーという異色の経歴から、出身地ではない飯山市の副市長となられた伊東ゆかりさん。ご自身の子育てに対する考え方や周りの方々との繋がりの中で、今の暮らしに辿り着いた方です。自分の拠点となる「暮らす場所」を決めた背景や、行政の立場からの暮らしの拠点の探し方などのお話しを伺ってみました。
周りの人々に背中を押してもらって辿り着いた今の自分の立ち位置
私の人生は、周囲の人たちに支えられ、ご縁に導かれ生きてきた「受け身」の連続でした。今のこの立ち位置も、市長をはじめ、たくさんの方々に背中を押していただいたことで導かれたものです。
副市長に就任して最初の1年目は、想像を悠に超える多種多様な業務・公務をこなすのに精いっぱいの日々で「正解は何なのか?支えてくれる人がいるのかいないのか分からない」という疑心暗鬼の中で周囲に頼ってばかりいました。しかし、市長から「自分から、やりたいこと、進めたいことと、そのために職員にやってもらいたいことをしっかり指示するようにしたほうがよい」とご指導をいただく中で、これまでの受け身の生き方から脱却し、マインドを転換していかなければと葛藤しながら、視野を広く持つことの大切さを学びました。
ようやく、「こんなことをしたい、実現するためにはどうしたらよいのか」ということを皆さんに相談し、また、指示ができるようになってきたように思います。
子どもが大勢に囲まれている環境で子育てがしたい!暮らしの拠点は子どもの育て方から決断
私自身の「暮らしの拠点」の決め手となったのは、子育ての環境でした。長野市に住み、核家族だけで子どもを育てることに自信が持てなかったのです。私自身、幼少期は、両親や妹弟、祖父母、叔母や叔父といった大勢の家族の中で育ったので、少人数で限られた空間の中で子どもを育てるのは理想的ではないという想いがありました。
また、夫がアウトドアや自然を愛する人だったこともあり、長女が1歳になった頃、自然豊かな飯山市にある「夫の実家に入ろう」と決めました。
入ったら入ったで、とても楽しくて楽で(笑)。夫の両親や祖母が子どもの事を見てくれる環境は、本当に素晴らしく、ありがたい日々でした。子どもたちは、大勢の人たちの目と心をかけて育つことがとても大事だと、子育てをしながら感じていました。
おかげさまで、伸び伸びと育った長女・長男・次男ともに社会人として働き始め、一人前の大人に育ってくれました。これは、同居してくれた温かい家族の支えがあったからこそです。都会では希薄になりがちな、人との繋がり、地域での濃いコミュニティの存在こそが、環境さえ整うなら、子育て世帯にとって何よりも心強い「暮らしの拠点」の条件だと信じています。
地方都市だからこそ変化を!人々が自信を持って生きていける支援をするのが行政の役目

地方には、歴史的にも女性の経営者が育ちにくいという気風があります。飯山市でも女性の経営者は、まだまだ少ないのが現状です。
共働きのご家庭も多い中、将来的に子どもの学費などを考えると、このままでは不安だと感じる方も多いのではないかと思います。
地方こそ、そこに住む女性たちが、エネルギッシュに自信を持って生きてほしい。
自分のやりたいこと、就きたい仕事、多様なスキルや特技を生かしてほしい。生き方を模索している人たちの声を届けてほしい。自分にない才能を持った人たちと出会いたい。今、そうした女性たちのコミュニティづくりを考えています。
得意な何かがある人は、それを得意や趣味で終わらせず、発信したい、販売をしたい、起業をしたいと考える人たちを応援したいと思います。飯山市だけで完結するのではなく、広域で連携しながら、地方で可能な多様な働き方をみんなで考え、実現できるような仕組みづくりを目指していきたいです。そうしたことのお手伝いをするのも、私たち行政の役割であると思います。
私は、岳北地域4市村で構成される岳北広域行政組合の副組合長のひとりでもあります。組合では、女性職員を増やしていきたいと考えています。現在3名いる女性職員との意見交換の中で、現状や意見、不安に感じること、将来的なビジョンについて率直な話しを聞かせてもらいました。女性職員が増えることを目標に、今後、必要な施設整備についても計画的に進めていきたいと考えています。
昨年度から図書館で取り組みをはじめた「絵本で育てるまちづくり事業」は、今年度、市内で絵本や紙芝居の読み聞かせをボランティアで行う「いい山えほんコミュニケーター」を中心に事業を推進しています。
寄贈いただいた、たくさんの絵本や児童書の活用をきっかけに、昨年度「いい山えほんコミュニケーター養成講座」がスタートしました。第1期生は22名、今年度の第2期生は19名参加して行われています。年齢は幅広く、受講者の大半が女性です。
絵本や紙芝居の読み聞かせを通じ、その世界観を伝える「いい山えほんコミュニケーターによるおはなし会」と、絵本を持参し、自由に手に取り見て、読んでいただく「おでかけとしょかん」を組み合わせた活動を、第1期生と図書館職員が連携して行っています。地域全体に絵本や紙芝居の輪を広げるこの事業は、回を重ねるごとに、お子さんを中心に多くの方が参加してくれるようになりました。年齢に関係なく、人と人とを繋げる、ぬくもりあふれる絵本や紙芝居の可能性に益々夢が膨らみます。
「暮らしの拠点」をどこに定めるか悩んでいる子育て世代の皆様へのメッセージ
私が考える理想の居住地とは、「行政の支援が手厚いところ」です。その点、飯山市は子育て環境がとても充実しています。
飯山市では、18歳までのお子さんの医療費の自己負担分が助成され、実質0円です。幼児教育に関しては、第3子以降の児童に係る保育園・幼稚園の保育料は無料です。また、給食費は完全無償化で、米飯の日は、自園炊飯により温かく美味しいご飯が提供されています。
学校教育に関しては、小中学校に通う児童生徒の負担する給食費に対し補助金を交付し、学校給食費の7割が軽減されています。他にも多くの支援制度があります。0歳から18歳になるまでの切れ目のない子育て支援のサポートが充実しているのは、とても大きな魅力です。
飯山市というと、豪雪地というイメージをお持ちの方が多いと思います。
一般的に豪雪地帯と呼ばれる地方移住で懸念されるのが「雪」の問題だと思います。確かに飯山市は雪の多い地域ですが、市民、事業者、行政の協働により、玄関先も道路も困ることはほとんどありません。雪が本当に大変なのは冬季間の4週間程度です。その4週間を乗り切れば、本当に美しい心和らぐ春がやってきます。芽吹きや新緑の風景は格別です。
飯山市は、新幹線飯山駅があり首都圏へのアクセスも便利です。高速のインターチェンジも最寄りで、移住先として選んでいただける要素は多分にあると思います。
都会のように人間関係が希薄になるのではなく、よい意味で濃い、人との繋がりがあるため、私みたいに、子育てにおいて人の支えが必要だと考える方には最適な場所です。
もし、今、どこに住むべきか迷っている方がいらっしゃれば、ぜひ一度、飯山市の移住定住推進課にご相談にいらしてください。副市長として、自信をもって、飯山市での子育てをおすすめします。温かい人々と豊かな自然、そして行政の手厚いサポートの元で、次世代を担う子供たちを伸び伸びと育てられる飯山市は、暮らしの拠点としていただくのに本当にお勧めです。









