ライフデザインコラム

長野でのキャリアチェンジ━地元転職成功のコツとは?

丸山宏尚さん35歳。合同会社ビジョンパートナー代表 上田市在住

 

転職成功の秘訣は自分自身にある

丸山さんは教師、病院職員、公務員と3回の転職を経験しています。1回目は家庭の事情でした。年度末からの仕事探しということもあり、長野県の教員採用試験が終わっていたので、看護師である奥様の勤め先を優先しました。「妻の勤務先でたまたま事務職も同時募集していて、私は運よく拾って頂きました(笑)」――と丸山さんは当時を振り返ります。

「2回目は第二子を考えだしたときです。病院職員の転職は地元から離れた土地で、知り合いも居ない中での子育てでした。楽しく過ごせた半面大変なことも多く、妻の希望もあって地元への転職を考えました。仕事はとても充実しており、判断に迷うこともありましたが、“とりあえず試しに”という気持ちで地元の公務員試験を受けたら、一次・二次と合格。あとは面接だけというタイミングで職場の人たちに正直に事情を話しました」

周囲からは、「君は次のステップに進んだ方がいい」と温かい言葉で背中を押してもらえたのです。

「公務員の仕事は楽しく、やりがいもありました。2つの課を担当し、これまでと同様に自分が必要と思うことは率先してやってきました。充実した日々を送っていたのですが、ふと現状に満足している自分に気が付いて・・・」

悩みながらも正直な気持ちを奥様に打ち明けたところ、「持っている力をもっと発揮できるならいいと思う」とまたも背中を押してもらうことに。そして、社会の中にもっと影響を与えていくこと、自分自身の成長、そしてビジョンを実現するために退職を決意しました。

職種は違っても「人のため、社会のためになる仕事をする」を軸に何事も取り組み、その信念がぶれることはありませんでした。新しい人間関係や職場環境も自ら作ればいい。数々の経験は後の起業に結びついていきました。

いつも“DO or DO”の精神で仕事に取り組む

 

後悔しない転職のすすめ 若いうちに人生の目的を見つける

主な転職理由に、人間関係、仕事が自分に合っていない、ステップアップのためなどが挙げられます。そうした理由で成功した人もいるのでそれはそれでいいと思ってはいるものの、丸山さんの経験上、この理由だとこんなはずじゃなかったと後悔する人も多いように感じていると言います。

「私は巡り会う人に恵まれたこともありますが、どの職場でも自分が必要と思えば協力を得ながら先陣を切ってやってきました。苦しい事も沢山あり、綺麗ごとと言われたこともありました。でも、振り返るといつも理想を実現するために本気でした。大切なのは若いうちに人生の目的を見つけることだと思います」

ビジョンや夢、目的に向かうための転職ならば、いっときの苦しみは耐えられ、必要な苦労とも思えるものです――経験者ならではの説得力のある言葉も。

「あとは、地域活動や社会活動に参加することをお勧めします。人脈が自然と広がり、キャリアのブラッシュアップに繋がりますよ。もう一つ、一番身近な家族としっかりコミュニケーションはとりましょう(笑)」

 

これまでの経験と得意分野を見極めたら、次のステップが見えた

上田市の講演会にパネラーとして出席

公務員生活に終止符を打ち、2023年、子どもに関わる仕事がしたくて社会福祉に関する事業を起業した丸山さん。「メインは障がいを持つ児童や大人の相談支援事業です。分かりやすく言えば、高齢者のケアマネージャーの障がい福祉版ですね。また、コーチングやカウンセラー、健康運動指導士の資格があるので、研修や講師もやっています」

従業員にも優秀な言語聴覚士がいて、この地域で民間初の“ことばの相談室”も開設しています。

「これからも社会課題に目を向け、待っているのではなく、こちらから届けていくアウトリーチの事業を展開していきたいと思っています。最終的には本物のインクルーシブな地域社会の実現です」