ライフデザインコラム

半年の育休を経て見えた働き方と家族との過ごし方

株式会社サンクゼールの信濃町オフィスに在籍する井上聡一郎さんは、久世福商店の店頭を彩る数々のジャムや瓶詰製品の開発者です。入社9年目の2025年に約半年(187日)の長期育休を取得し、奥様と二人三脚で初めての子育てを経験しました。慣れない育児、男性の長期育休、そして復帰への思いなどお聞きしました。

井上聡一郎さん 長野市在住、奥様ともうすぐ11カ月になるお子さんのパパ

男性社員が長期の育児休暇を取りやすい環境
2022年10月に新設された産後パパ休業(出生時育児休業)や企業の取得公表義務化などを背景に、男性社員の育児休業取得率は急増しています。厚生労働省の2025年7月の発表によると、全国の男性育休取得率は40.5%で初めて40%を超えました。長野県では2023年度時点で既に44.6%と全国平均を上回っていますが、期間は1カ月未満に集中しているのが現状です。
こうした状況の中で、井上さんは約6カ月の育児休業を取得しました。

「2025年度時点で、社内では14名の男性社員が育休を取得しています。その半数以上が半年から1年という長期休暇を占めていて、当時、私の上司も1年近い育休を取得していたので、申し出しやすい雰囲気がありました。妻と “半年くらいが良さそうだね”と相談して決めました」

 

育児に没頭した6カ月間
共働きの井上さん夫婦は、家事は“できる人がやる”というスタンスで、普段から掃除や洗濯などはやっていたという井上さん。でも、出産後は生活が一変したといいます。

「授乳以外は妻と同じことをやりました。新生児の時は3時間おきに授乳があるので、一緒に起きておむつ替えなどやっていました。授乳中に寝ることもありましたが、夜泣きもあって細切れ睡眠になり、最初の1~2カ月は睡眠不足になりました。昼間に子どもと一緒に寝てしまうこともありましたね。
また、保健センターの検診や離乳食教室にも一緒に行き、習ったことを妻と相談しながら離乳食も作りました。初めての子ということもあり、育児書やネット、市の“赤ちゃんのしおり”なども参考にしながらの育児でした。
一番大変だったのは、やはり昼も夜もなかった最初の1カ月。でも、成長するにつれてできることが増え、笑顔を見れば疲れも吹き飛んでしまいます。その時にしかない、かけがえのない時間を長く一緒に過ごせたこと、育児の大変さも体験できた貴重な時間でした」

こうした育児の中、仕事柄、育休中に作った離乳食は余計な調味料を加えずに、また柔らかく作るものなので、素材や口当たりを活かし考える意味でも今後の仕事のヒントになるかもしれないと感じたそうです。


日々成長する娘さんの姿を夫婦で分かち合えた貴重な育休だった

 

ライフワークバランスを考えるきっかけにも
半年の育休中は育児に集中しながらも、「復帰したらしっかり働かないと」という気持ちと、半年も仕事をしない時間を取るのは初めてなので、復帰後、頭が仕事の脳に戻れるかという不安が常に入り混じっていたといいます。井上さんの場合、復帰後の担当も同じ商品開発課と決まっていたため、休みに入る前は短期で完結できる案件に調整してもらえたそうです。商品開発は途中引き継ぎが難しいため、部署や上司の配慮が支えになったとも。復帰後は、事前のアンケートや面談により柔軟な勤務体制が取れることから、在宅勤務を利用しながら育児にできるだけ協力をしているそうです。

「子どもが中心になり、生活サイクルも変わりました。今は定時より早く帰り、夕方の食事やお風呂などを手伝い、その後は在宅勤務にしています。妻がまだ育休中なので平日は妻が頑張ってくれていて、金曜日の夜から週末は妻に休んでもらうようにしています。
育休を経験した身として、やはり男性も取るべきだと思います。妻の負担を考えると最低でも3カ月は必要だと感じました。取ったからこそ分かることがたくさんありましたから。ただ、友人に半年の育休を取った話をしたら驚かれました。改めて恵まれた環境を実感しました」

奥様は長期の育休を取ったことに感謝されているそうです。次のお子さんの話題になると「また取ってほしい」と言われるそうですが、井上さんご自身もそうしたいと思っているそうです。

育休中に余計な調味料を加えずに、素材や口当たりを活かし考える離乳食を作った経験は、新たな気付きとして今後の商品開発のヒントになりそう