ライフデザインコラム

お寺も、ウェブ制作も、子育ても。入り混じるワークとライフを大切に生きる

小布施町の街なかから少し離れた場所にある、浄土真宗本願寺派の寺院「西證寺(さいしょうじ)」。浄土真宗では住職の妻を「坊守(ぼうもり)」と呼びますが、朝比奈利奈さんは西證寺の坊守とウェブ制作会社の経営者という全く異なる顔を持っています。「二足のわらじ」をしながら、小学生2人の子育てもこなす日々の暮らしについて聞きました。

 

移住を機に、ウェブデザインを一から学んでキャリアを転換

朝比奈さんは2008年、結婚を機に小布施町に移り住み、ウェブデザインの仕事をフリーで始め、2023年に事業を法人化。外部パートナーの協力を得ながら、ウェブ制作を中心に請け負っています。


日中は自宅近くの仕事場でウェブデザイン作業に集中する

「フリーランスになる前は、東京の会社でシステムエンジニアをしていました。結婚することが決まってからは、東京での仕事をいつでも辞められるように派遣社員になりました。小布施町に引っ越してからも、起業するまではリモートでエンジニアを続けていました」

医療カルテを作る仕事をしていましたが、実際にネットワークにつなぐためにクライアントの病院でテスト作業をする必要がありました。出張が多くなると大変なので、仕事の仕方を変えたいと考えた時に、それまで経験がなかったウェブデザインをやってみようと思い立ちました。当時の小布施町には、ウェブサイトを持っているお店がまだ少なかったのです。

通信教育でウェブデザインの勉強をし、デザイナーの経験を積み、町内で開かれたイベントに参加したことがきっかけで町内でのつながりが増え、仕事が広がっていきました。

 

仕事と家庭のバランスを取りながら、子どもたちとの今を楽しむ

西證寺の住職である夫との出会ったのは、東京で働いていた時。当時、東京に住んでいた夫は朝比奈さんの友人が通っていた専門学校のクラスメイトでした。友人と小布施町に観光で訪れた時に、小布施町に実家がある夫に町内を案内してもらったことをきっかけに親しくなり、交際が始まりました。

「ある日突然、『仕事が落ち着いたら小布施に帰るよ』と言われ、驚きました。私は仕事の調整がついてから遅れて移り住みました。結婚と同時にお寺での生活が始まりましたが、都市部での生活に慣れてしまっていたので、夜7時には外が真っ暗になってしまう環境に最初は戸惑いました」

本堂のお正月の飾り付けを片付ける朝比奈さん

朝比奈さんの1日は朝5時半の起床と共に始まります。6時前から朝食の準備、6時半に本堂へのお参り、6時45分頃から家族みんなで朝食、7時半に子どもたちが学校に登校。9時頃まで家事をこなした後、夕方5時半ころまでは仕事に集中します。仕事が立て込んでいる時は子どもが寝た後、深夜まで仕事をしていることも。

「ウェブ制作は成果が目に見えるのでやりがいがあって、どんなに忙しくても辞めたいと思ったことは一度もありません。それでも、お寺に入ったので、最初はもっとお寺のことをしないといけないと思っていたのですが、夫の両親が『自分たちが動ける間は私たちがやるからね』と言ってくれます。両親が優しいから、育ってきた環境と全く違う場所でも安心して馴染んでいくことができました。昨年住職を継いで忙しくなった夫も、『今まで通り働いていていいから』と言ってくれて、その言葉に甘えさせてもらっています」

4月から忙しかった仕事が今は一段落しつつあるそうで、朝比奈さんは「今年は子どもと向き合う時間をもっとつくりたい」と言います。

「けん玉で『もしカメ」を最後までいけるようになるとか、シール帳にシールを集めて交換したりとか、本当に小さなことですが、最近は子どもとできる楽しい遊びを見つけて一緒にやっています。ゲーム以外にも面白いことがあることを知ってほしくて一緒に始めてみたら、私の方が楽しくなって、『いい機会をくれてありがとう』という気持ちです」