産む・産まないを考える前に。ライフデザインを考えるために必要なこと
性や妊娠に関して正しい知識を持ち、日々の生活や健康と向き合う「プレコンセプションケア」の観点を持つことは、ライフデザインを考える上で必要です。
自分のからだのことを早くから知る大切さを感じてきたという長野市の森田舞さんは、社会保険労務士やコーチングアカデミー長野校の仕事をしながら、同じく社会保険労務士で夫の真佐男さんと、中学3年生と小学5年生の女の子を育てています。不妊治療の経験を経て今、若い世代に伝えたいことを聞きました。
日頃の婦人科受診で自分のからだの状態を知ることができた
10代の頃から生理不順で、数カ月生理がない状態が当たり前になっていたという舞さん。神奈川県の短大に進学した18歳の時、初めて婦人科を受診し、薬を飲んで生理周期を整えることを始めました。
「妊娠出産を迎えたわけではない女性が婦人科を受診するのは心理的にハードルが高いです。でも、生理不順や不調があった時に婦人科を受診することは、女性が自分の健康を守るうえでとても大事なことなんです」
薬を飲むのを止めてしまうとまた生理不順になってしまうため、婦人科に通い続けていました。自分のからだの状態を知っていたことで、妊娠しづらい自分のからだと早くから向き合うことができた――と舞さんは振り返ります。
舞さんは短大を卒業後、神奈川の企業に就職し、同じ職場で真佐男さんと出会いました。二人そろって退職後、22歳と25歳で結婚。その後ワーキングホリデービザで二人でオーストラリアに滞在、神奈川での再就職を経て、28歳の時に長野市に戻ってきました。
「神奈川で夫は社会保険労務士とは別の資格取得の勉強をしていましたが、試験に受からなくて、あきらめて心機一転して新天地に行こうと、私の地元である長野市に戻ってきました。帰りたいという気持ちはありませんでしたが、長野に行くことを夫から提案され、『選択肢としておもしろいかもしれない』と思いました。これから先、子どもを持つとしたら、長野なら私の両親もいるし、のびのびとした環境でゆとりを持って子育てできるのではないかと思いました」
長野に移り住み、就活の空き時間などで舞さんは夫と社労士の資格取得のための勉強をし合格。ほぼ同時期に社労士登録し、開業から今年で23年目を迎えました。
妊娠・出産への自分の向き合い方を決めて、人生の道筋をつける
子どものことを考え始めたのは30代前半の頃。「治療としては排卵を起こすような薬を飲み、タイミング療法を試みていました。でもある時、体調を崩してしまったんです。この時に、不妊治療への向き合い方が自分の中であやふやだったことに気付き、どう向き合っていくかを立ち止まって考えました。夫と『どっちつかずだと辛いよね』『一旦仕事にシフトしよう』と話し合いました。30代前半は仕事優先で、30代後半は必ず治療を優先しようと決めたら、自然と道筋がつきました」
舞さんはその後、治療に専念し、37歳で長女を、41歳で次女を出産しましたが、お腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまう稽留流産も経験しました。
「若い世代の方には、妊娠しても必ず無事に生まれてくるわけではないこと、実は流産や死産も多くあることを、早くから知っておいてほしいと思います。40 代でも治療せずに自然妊娠することもありますが、限りなく可能性が低くなるし、流産のリスクも高くなります。子どもを持つ人生を考えるのであれば、後になってから、ああしておけばよかったと後悔しないためにも、自分のからだと早くから向き合ってほしいです」